ゲーム概要 『人喰いの大鷲トリコ』は、巨大な遺跡を舞台に、少年と大鷲トリコの冒険を描くアクションアドベンチャー。
主人公の少年は、謎の遺跡で巨大な生き物「トリコ」と出会う。
最初から仲良くできるわけではない。
少年はトリコを助け、少しずつ距離を縮めながら、巨大な遺跡からの脱出を目指していく。
本作を特徴づけているのが、トリコとの意思疎通だ。
トリコは普通のゲームの仲間キャラクターのように、プレイヤーの指示へ正確に反応してくれるわけではない。
周囲を見たり、興味のあるものに近づいたり、立ち止まったりする。
そのため、プレイヤーは「命令する」のではなく、トリコの行動を見ながら次に何をしてもらうかを考えることになる。
PlayStation公式も、本作を「少年と巨獣が共に困難を乗り越え、絆を深めていく」アクションアドベンチャーとして紹介している。
ゲーム性分析 トリコを完全には操作できない 『人喰いの大鷲トリコ』で最も特徴的なのは、トリコがプレイヤーの思い通りに動かないこと。
一般的なゲームなら、仲間に「ここへ行け」と指示すれば、すぐに目的地へ移動してくれる。
しかしトリコはそうではない。
呼んでも来ない。
別の場所に興味を持つ。
その場から動こうとしない。
逆に、プレイヤーが予想していなかった行動をすることもある。
一見すると不便な設計だ。
ところが、この不完全さがトリコを「ゲームのキャラクター」ではなく、「そこにいる生き物」のように感じさせる。
PlayStationの開発者インタビューでも、トリコが周囲の物を避けたり、何かに反応して向きを変えたりする自然な動きを実現するため、専用のアニメーションやAIが使われたことが説明されている。
パズルの答えは「トリコとの意思疎通」 本作のパズルは、少年一人で解くものだけではない。
トリコにどう動いてもらうかを考えることが、パズルそのものになっている。
少年だけでは届かない場所がある。
そこへ行くにはトリコの力が必要になる。
でも、トリコはこちらの意図を直接理解してくれるわけではない。
だから、
「どうすればトリコがあそこへ行くのか」
「何を見せれば興味を持つのか」
「どのタイミングで動けばいいのか」
を考えることになる。
つまり、通常のパズルゲームにある「スイッチを探す」「正しい順番を考える」といった問題に加えて、相手の行動を理解するという要素が入っている。
GPAで頭脳70%となっているのも、この部分が大きい。
「待つ」こともゲームプレイになる トリコとの冒険では、すぐに結果が出ない場面がある。
呼びかけても動かない。
何度か誘導して、ようやく動いてくれる。
この「待つ時間」が普通のゲームではストレスになりやすい。
しかし本作では、それがトリコとの関係を表現する時間にもなっている。
プレイヤーはトリコの視線や動きを観察する。
何に反応しているのかを考える。
そして、少しずつ相手のことが分かってくる。
PlayStationの開発者コメントでも、少年がトリコに何かを理解させ、最終的に意図が伝わる瞬間を「eureka moment」として挙げている。
普通なら「操作性の悪さ」として扱われかねない部分を、ゲームの関係性そのものに変えている。
少年とトリコの関係が、そのまま物語になる 本作で重要なのは、二人が最初から信頼し合っているわけではないこと。
少年はトリコを警戒する。
トリコも少年を完全には信用していない。
それでも、困難を一緒に乗り越えることで少しずつ関係が変わっていく。
ゲーム開始直後、少年が傷ついたトリコの体から槍を抜く場面も、その関係の始まりを象徴している。
開発者の上田文人氏も、少年とトリコの「発展していく絆」がゲーム全体の主要なテーマだと説明している。
ここで重要なのは、絆がムービーだけで描かれているわけではないこと。
「トリコに助けてもらう」
「トリコを助ける」
「トリコの行動を理解する」
というプレイヤー自身の操作が、二人の関係を体験させている。
巨大なトリコと小さな少年 ビジュアル面でも、二人のサイズ差が非常に印象的だ。
少年は小さく、トリコは圧倒的に大きい。
そのため、トリコの背中に乗ったり、体を足場として利用したりするだけで、二人が一緒に行動していることが伝わる。
巨大な身体が障害物を壊したり、高い場所へ少年を運んだりする一方で、狭い場所では少年のほうが先に進める。
それぞれにできることが違う。
だからこそ、一人では進めない場所を二人で突破する感覚が生まれる。
遺跡そのものが「二人で進む」ために作られている 舞台となる巨大遺跡は、単なる背景ではない。
高低差のある構造、巨大な空間、崩れた足場、閉ざされた通路など、少年とトリコが協力しなければ進めない場所が続く。
上田文人作品らしく、プレイヤーに明確な指示を大量に与えるのではなく、周囲の地形を観察して進む場所を探していく。
そのため、プレイヤーは「次の目的地」をマーカーで追うというより、
「ここからどうやって進むんだ?」
と考えながら環境を見ることになる。
この探索とパズルの組み合わせが、GPAの頭脳70%という評価にもつながっている。
GPAスコアから見る人喰いの大鷲トリコ 現在のGPAでは、特に以下の項目が高く評価されている。
タイトル傾向チャート(人喰いの大鷲トリコ) ※ GPAサブタグスコアに基づく。感情・物語・頭脳(意思疎通パズル)が核。
最も突出しているのが感情的物語95%。
これは、ストーリーの展開だけで感情を動かす作品ではなく、トリコとの関係をプレイヤー自身が操作を通して作っていくことが大きい。
一方で高難度は40%。
本作の難しさは、反射神経を要求するアクションというより、環境を観察し、トリコの行動を理解し、次に何をすべきか考える部分にある。
つまりGPAの数値から見ても、本作は「高難度アクション」よりも感情と探索、パズルを重視したアドベンチャーと捉えるのが分かりやすい。
著者の感想 『人喰いの大鷲トリコ』で面白いのは、ゲームの不便さが、そのまま作品の魅力になっているところ。
トリコが思い通りに動かない。
だからイライラすることもある。
でも、何度も一緒に行動していると、少しずつトリコのことが分かってくる。
「あ、今はこっちを見ている」
「この場所には行きたくないんだな」
「ここなら飛んでくれそうだ」
そんなふうに、プレイヤー側がトリコを理解するようになる。
そして、こちらの意図が伝わった瞬間には、単にパズルを解いた以上の達成感がある。
それは、ゲームのシステムを攻略したというより、一緒に冒険している相手との意思疎通が成立した感覚に近い。
この感覚をゲームプレイそのものに組み込んだことが、『人喰いの大鷲トリコ』の最大の魅力だと思う。
まとめ 『人喰いの大鷲トリコ』は、少年と巨大な生き物が協力して遺跡を進んでいくアクションアドベンチャー。
最大の特徴は、トリコを完全には操作できないこと。
その不完全さによって、プレイヤーはトリコを「命令に従う仲間」ではなく、「意思を持った生き物」として見るようになる。
パズルではトリコとの意思疎通が必要になり、探索では二人の身体的な違いがゲームプレイになる。
そして、その積み重ねが二人の絆をプレイヤー自身に体験させる。
GPAの感情的物語95%、ストーリー充実度85%、グラフィック85%、頭脳70%という評価は、まさにこの作品の特徴を表している。
「仲間を思い通りに動かす」のではなく、「相手を理解して一緒に進む」。
それが『人喰いの大鷲トリコ』というゲームの面白さだ。
同系統の感情的物語は 泣けるストーリーゲーム15選 、ソロ向けの次の一本は ソロゲーム20選 も参照。