『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(BotW)』は、広大なハイラルを自由に探索し、プレイヤー自身の発想で攻略方法を組み立てていくオープンワールド型のアクションアドベンチャー。
従来の『ゼルダの伝説』シリーズでは、ダンジョンや物語を順番に攻略していく構成が大きな特徴だった。一方、BotWでは「どこへ行くか」「何をするか」「どうやって攻略するか」をプレイヤー自身が決められる。
GPAではオープンワールド90%、アクション70%、ストーリー充実度70%、グラフィック70%、感情的物語60%、頭脳60%、高難度50%、戦略系50%、クラフト40%、育成40%。
特に高いのがオープンワールド。決められたルートを進むよりも、探索そのものとプレイヤーの判断がゲーム体験の中心になっている。
ゲーム概要
BotWの舞台は、厄災ガノンによって滅びかけたハイラル王国。
主人公リンクは長い眠りから目覚め、100年前の大厄災で失われた記憶を取り戻しながら、ゼルダ姫とハイラルを救うために旅をする。
ただし、最初から目的地へ一直線に進む必要はない。山を登る、馬で移動する、滑空する、祠を探す、敵の拠点を攻略する、素材を集めるなど、プレイヤーが興味を持った場所から自由に探索できる。
任天堂自身もBotWを、プレイヤーが行きたい場所を選び、さまざまな方法で世界を探索・攻略できる作品として紹介している。(Nintendo)
タイトル傾向チャート(BotW)※ GPAのゲーム性タグスコアに基づく。
ゲーム性分析
自由な探索がゲームの中心
BotW最大の特徴は、広いフィールドを「攻略する場所」ではなく「自分で使い方を考える場所」として設計していること。遠くに山が見えれば登ってみる。高台から気になる場所を見つければ、パラセールで向かう。敵の集団を見つければ正面から戦ってもいいし、別のルートから近づいてもいい。
マップ上の目的地を消化していくだけではなく、プレイヤーが自分で興味の対象を見つけ、そのまま行動に移せる。そのため、GPAのオープンワールド90%という評価は、単純にマップが広いという意味ではない。「世界をどう使うかをプレイヤー自身が決められる」ことが大きなポイントになっている。 オープンワールド30選でも、探索の比重が高い作品の一つとして扱える。
物理演算と環境を利用した攻略
BotWでは、敵との戦闘だけでなく、周囲の環境そのものを攻略に利用できる。金属製の武器を使って電気を利用する、炎で草原を燃やして上昇気流を作る、物体を動かして道を作るなど、状況に応じてさまざまな解決方法が存在する。
祠のパズルでも、正解の手順を覚えるというより、「この仕組みなら、こう使えるのでは?」と考えることが重要になる。この部分がGPAの頭脳60%・戦略50%にもつながっている。難しい計算をするゲームではないが、プレイヤー自身の知識と発想が攻略に直結するタイプのゲームだ。
戦闘はアクション中心
戦闘では、武器の種類や敵の攻撃パターンを見ながら、回避・ガード・攻撃のタイミングを判断する。武器には耐久度があり、同じ武器をずっと使い続けることはできない。そのため、強い武器を手に入れたら、それを温存するのか、目の前の敵に使うのかという判断も生まれる。
GPAのアクション70%・高難度50%という評価からも、BotWは高難度アクションそのものを追求する作品というより、探索・環境利用・装備選択などを含めて攻略方法を考えるゲームだと分かる。
育成より「プレイヤー自身の成長」が大きい
BotWでは、レベルを上げて主人公を大幅に強化していくタイプの育成システムではない。ハートやがんばりゲージを増やしたり、より強い武器や防具を手に入れたりする要素はあるが、ゲームを進めるうえで重要なのはプレイヤー自身が世界の仕組みを理解すること。
- 「この攻撃は盾で受けられる」
- 「この場所なら高所から攻撃できる」
- 「この武器ならこの敵に有効」
と理解することで攻略しやすくなる。GPAの育成40%というスコアも、キャラクターの数値成長よりもプレイヤーの知識や経験による成長が大きいことを反映している。
ストーリーと100年前の大厄災
BotWの物語は、リンクが目覚めた「現在」だけでなく、100年前の大厄災が重要な背景になっている。100年前、ハイラルは厄災ガノンによって大きな被害を受け、リンクと四英傑も敗北した。本編では、その出来事が回想や記録を通して少しずつ明らかになっていく。
そのため、ストーリーを一直線に追うというより、現在の探索を進めながら、過去の出来事を少しずつ知っていくという構造になっている。GPAではストーリー充実度70%、感情的物語60%。物語だけを目的に進めるゲームではないが、ゼルダとリンク、英傑たちの過去を知ることで、現在のハイラルを見る意味が変わっていく。
歴代ゼルダシリーズの中で見るBotW
BotWを理解するには、それ以前の『ゼルダの伝説』シリーズとの違いを見ると分かりやすい。
歴代ゼルダシリーズの中で見るBotW| 作品 | 発売年 | 主な特徴 | BotWとの関係 |
|---|
| ゼルダの伝説 | 1986 | 探索・謎解き・戦闘 | シリーズの原点 |
| 神々のトライフォース | 1991 | 広いフィールドと2つの世界 | 2Dゼルダの代表作 |
| 時のオカリナ | 1998 | 3D化・ロックオン・立体的なダンジョン | 3Dゼルダの基礎を作った作品 |
| 風のタクト | 2002 | 海を航海して島を探索 | 広い世界を移動する方向性を拡張 |
| トワイライトプリンセス | 2006 | 広いフィールド・ダンジョン・物語 | 従来型3Dゼルダの代表作 |
| スカイウォードソード | 2011 | モーション操作・ダンジョン中心の構成 | BotW以前の3Dゼルダの流れを受ける作品 |
| ブレス オブ ザ ワイルド | 2017 | 自由な探索・物理演算・環境利用 | シリーズのゲーム構造を大きく変えた作品 |
| ティアーズ オブ ザ キングダム | 2023 | 空・地底・工作・自由な攻略 | BotWの直接の続編 |
BotWは、それまでのシリーズで積み上げられてきた探索・謎解き・戦闘という基本要素を残しながら、それらをより広い世界の中でプレイヤー自身が組み合わせる方向へ発展させた作品といえる。
BotWとティアーズ オブ ザ キングダムの関係
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、BotWの直接の続編。任天堂も公式に「ブレス オブ ザ ワイルド」の続編として説明している。(Nintendo)
舞台となるハイラルもBotWから引き継がれているが、遊び方はさらに拡張された。
BotWとティアーズ オブ ザ キングダムの比較| 要素 | BotW | ティアキン |
|---|
| 探索 | ハイラルの大地 | 大地+空+地底 |
| 移動 | 徒歩・馬・滑空など | 乗り物を自分で作ることも可能 |
| 謎解き | 物理・環境・特殊能力 | 工作・物理・能力の組み合わせ |
| 武器 | 武器を拾って使い分ける | 素材を組み合わせて性能を変化させる |
| 攻略方法 | 複数の方法から選ぶ | 複数の方法を自分で作る |
| 自由度 | どこへ行くか | どこへ行くか+どう攻略するか |
BotWが「世界を自由に探索する」ゲームだったのに対し、ティアキンではそこに「攻略手段を自分で作る」という要素が加わった。任天堂の開発者インタビューでも、ティアキンではハイラルの過去や「封印戦争」が重要な物語として扱われていることが説明されている。(Nintendo)
BotWから広がるハイラルの歴史
ここから先は、BotWとティアキンだけでなく、2本の「ゼルダ無双」作品も含めると関係が分かりやすくなる。任天堂の40周年クロニクルでは、ティアキンのさらに古い時代にハイラル王国が建国され、魔王ガノンドロフが誕生し、封印戦争が起きた後、長い時間を経て厄災ガノンによる大厄災へつながる流れが紹介されている。(Nintendo)
4作品の関係| 作品 | 時代・位置づけ | 役割 |
|---|
| ゼルダ無双 封印戦記 | ティアキンよりはるか昔 | 太古の封印戦争を描く |
| ティアーズ オブ ザ キングダム | BotW後+古代の回想 | BotWの直接の続編。古代ハイラルの歴史も描く |
| ブレス オブ ザ ワイルド | 大厄災から100年後 | 現代のハイラルを舞台にした本編 |
| ゼルダ無双 厄災の黙示録 | BotWの約100年前 | 大厄災の時代を描くスピンオフ |
本作は、BotWの約100年前に起きた大厄災を題材にした作品。BotWでは過去の出来事として語られる大厄災を、リンクやゼルダ、四英傑たちの視点からプレイできる。100年前のハイラルや、BotWでは過去の姿しか見ることのできないキャラクターたちが登場するのも特徴。任天堂も「100年前のハイラルの風景を再現」し、大厄災に焦点を当てた作品として紹介している。(Nintendo)
ただし、ここはBotWの記事で誤解しやすいポイント。『厄災の黙示録』は、BotWで描かれた過去をそのまま再現した作品ではない。物語にはBotW本編とは異なる展開があるため、BotWの「完全な前日譚」というより、BotWの世界と100年前の大厄災を題材にしたスピンオフとして捉えるのが適切。ゲームシステムもBotWとは大きく異なり、広いフィールドを探索するのではなく、多数の敵を一気に倒していく「無双アクション」が中心になる。
本作は、さらに時代を遡る作品。舞台は、ティアキンで断片的に描かれた「封印戦争」の時代。任天堂は本作を、『ティアーズ オブ ザ キングダム』へと繋がる物語として紹介している。(Nintendo)
ティアキンでは、ラウル、ソニア、ミネルなどのキャラクターや、ハイラル王国建国期の出来事が過去の記憶として描かれる。『封印戦記』では、その時代そのものを舞台にして、封印戦争を無双アクションとして体験できる。そのため、ティアキンで断片的に知ることになる古代の物語を、別のゲーム体験として掘り下げる作品と考えると分かりやすい。
また、ゲーム内には『ティアーズ オブ ザ キングダム』に登場したウルトラハンドなどを使った戦闘要素もあり、ティアキンとのゲームシステム上の繋がりもある。(Nintendo)さらに、『封印戦記』では『ティアーズ オブ ザ キングダム』や『厄災の黙示録』のセーブデータ連動特典も用意されている。(Nintendo)
4作品をどう繋げて見るか
BotW周辺の作品を整理すると、単純な一本の時系列というより、2つの過去を掘り下げる構造になっている。
ティアキン側の歴史
封印戦記
↓
ハイラル王国建国期
↓
封印戦争
↓
長い時間
↓
大厄災
↓
BotW
↓
ティアキン
BotW側の過去
厄災の黙示録
↓
約100年前の大厄災
↓
BotW
ただし、『厄災の黙示録』はBotWとは異なる展開を含むため、一本道の正史として扱うのではなく、BotWの世界観を使ったスピンオフとして区別しておきたい。一方、『封印戦記』は公式にティアキンへ繋がる物語として紹介されているため、ティアキンの古代史をより詳しく知る作品という位置づけが分かりやすい。(Nintendo)
BotWはゼルダシリーズの「探索」を変えた作品
BotWの面白さは、単純にマップが広くなったことではない。従来のゼルダでは、フィールド → ダンジョン → アイテム入手 → 新しい場所へ進む、という流れが強かった。BotWでは、気になる場所を見つける → 自分で近づく → 環境を利用する → 攻略方法を考える、という流れが強くなった。
その結果、プレイヤー自身の知識や発想が攻略能力になる。そしてティアキンでは、その自由度が「自分で道具や乗り物を作る」という方向へさらに広がった。一方、『厄災の黙示録』では同じ世界観を無双アクションへ、『封印戦記』ではティアキンの古代史を無双アクションへ展開している。BotWを中心に見ると、これらはそれぞれ異なる角度からハイラルという世界を掘り下げた作品だと分かる。
こんな人におすすめ
- 広い世界を自由に探索したい
- 一本道ではなく、自分で攻略方法を考えたい
- 物理や環境を利用した謎解きが好き
- アクションと探索を両方楽しみたい
- キャラクターのレベル上げより、プレイヤー自身の知識や経験で上達するゲームが好き
- 『ティアーズ オブ ザ キングダム』を始める前にBotWの世界を知っておきたい
- 100年前の大厄災に興味がある
- ティアキンで語られた古代ハイラルの歴史にも興味がある
まとめ
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、広大なハイラルを自由に探索し、プレイヤー自身の発想で攻略方法を決めていく作品。GPAでもオープンワールド90%、アクション70%、ストーリー充実度70%、頭脳60%と、探索とプレイヤー主導の攻略に強く比重が置かれている。
歴代ゼルダの探索・謎解き・戦闘を引き継ぎながら、攻略の順番や方法をプレイヤーに大きく委ねたことが大きな特徴だ。そしてBotWを起点に見ると、『ティアーズ オブ ザ キングダム』ではその自由度がさらに拡張され、『ゼルダ無双 厄災の黙示録』では100年前の大厄災、『ゼルダ無双 封印戦記』ではティアキンよりはるか昔の封印戦争へと物語が広がっている。
BotWは「自由に探索するハイラル」を体験する作品。ティアキンは、その世界をさらに自由に組み替えて攻略する続編。厄災の黙示録は、BotWの100年前を無双アクションとして描くスピンオフ。封印戦記は、ティアキンで語られた古代の封印戦争を描き、ティアキンへ繋がる物語。この4作品を合わせて見ることで、BotWから広がったハイラルの歴史とゲーム体験をより立体的に理解できる。