ゲーム概要 『十三機兵防衛圏』は、ヴァニラウェアが開発したSFアドベンチャー/シミュレーションゲーム。
物語の中心にいるのは、13人の少年少女。彼らの物語は同じ時間・同じ場所で進むわけではなく、過去や未来、さまざまな人物の視点を行き来しながら展開していく。
プレイヤーは一人の主人公を追い続けるのではなく、複数のキャラクターの物語を少しずつ進めながら、この世界で何が起きているのかを理解していく。
公式も本作を、13人の物語が絡み合うSFミステリーとして紹介している。2Dの横スクロールアドベンチャーで物語を進め、その一方で巨大ロボット「機兵」を操作して怪獣と戦う戦闘パートが用意されている。
GPAでは、感情的物語95%、ストーリー充実度95%、テキストADV85%、実存在的テーマ80%、グラフィック75%、マルチエンド70% と、物語に関係する項目が特に高い。
ゲーム性分析 13人の主人公が「別々の物語」ではない 最初に混乱しやすいのが、13人もの主人公がいること。
普通なら、これだけ主人公が多いと一人ひとりの物語が薄くなりそうに感じる。
しかし『十三機兵防衛圏』では、むしろ逆。
あるキャラクターの物語で起きた出来事が、別のキャラクターのストーリーを理解するための情報になっている。
別の人物から見ると意味不明だった出来事が、別のルートを進めることで意味を持つ。
そのため、13人の物語はそれぞれ独立しているのではなく、少しずつつながっていく。
PlayStationの開発者インタビューでも、各キャラクターの物語が交差し、あるキャラクターで得た真実が別のキャラクターの物語で理解できるようになる構造が語られている。
「謎を解く」のはプレイヤー自身 このゲームで面白いのは、物語を進めることと謎を解くことがほぼ同じになっているところ。
新しいエピソードを見る。
新しい人物を知る。
過去に起きた出来事が分かる。
すると、以前見た場面の意味が変わる。
ここでプレイヤーは自然と頭の中で情報を整理するようになる。
「この人物はこの時点ですでに○○を知っていたのか」
「さっきの出来事は、別のキャラクターから見るとこういう意味だったのか」
という具合に、物語の断片を自分でつなぎ合わせていく。
だから本作のストーリーは、ただ受け身で見るものではない。
情報を集めて、自分の中で世界の全体像を組み立てる。これが『十三機兵防衛圏』の大きなゲーム体験になっている。
情報が増えるほど、過去のシーンの意味が変わる 本作では、ストーリーを先に進めるだけが理解ではない。
新しい情報を知ることで、以前見たシーンそのものの印象が変化する。
最初は何気ない会話に見えた場面が、後から見ると重要な情報だったと分かる。
逆に、意味が分からなかった単語や出来事が、別のキャラクターの物語によってつながっていく。
この構造があるから、「次の展開が気になる」というだけではなく、「あの場面はどういう意味だったのか確認したい」という動機も生まれる。
GPAのストーリー充実度95、テキストADV85という評価は、まさにこの部分を表している。
アドベンチャーパートと戦闘パートの役割が違う 『十三機兵防衛圏』は、物語を読むアドベンチャーパートだけで構成されているわけではない。
巨大ロボット「機兵」に乗って怪獣と戦う戦闘パートがある。
公式によれば、戦闘はトップダウン視点で展開され、機兵をカスタマイズしてさまざまな武装を使いながら怪獣の群れと戦う。
この2つのパートは役割がかなり明確。
アドベンチャーパートでは、キャラクターと世界の謎を理解する。
戦闘パートでは、機兵を操作して迫りくる敵を撃退する。
つまり、「物語を理解する時間」と「機兵を動かす時間」が交互にやってくる。
GPAでもターン制50%と評価されているが、作品全体の中心はやはりアドベンチャー側にある。
ロボットものなのに、ロボットだけが主役ではない タイトルからすると、巨大ロボット同士の戦いがメインのゲームに見える。
実際には、機兵は物語を構成する重要な要素ではあるものの、本作の魅力の中心は13人の人物と彼らを取り巻く謎にある。
だからロボットに詳しくなくても楽しめる。
むしろ、昭和SF的な巨大ロボット、怪獣、宇宙、時間旅行といった要素を使いながら、中心に置かれているのは「この人物は何者なのか」「この世界では何が起きているのか」という人間側の物語。
公式も、本作を巨大ロボットや怪獣を扱うSF作品でありながら、13人の物語が絡み合う作品として紹介している。
ヴァニラウェアの絵が物語を支える 本作のもう一つの特徴が、ヴァニラウェアらしい手描き感のあるビジュアル。
キャラクターが歩く街並みや学校、夕暮れの風景など、日常的な場所も丁寧に描かれている。
そのため、SF設定が複雑でも、プレイヤーが実際に見ている世界はかなり身近に感じられる。
GPAでもグラフィック75%と評価されており、単純な映像表現の派手さではなく、作品全体の雰囲気を作るビジュアルとして機能している。
GPAスコアから見る十三機兵防衛圏 GPAのスコアを見ると、本作の特徴がかなりはっきりする。
作品傾向グラフ(十三機兵防衛圏) ※ GPAの小タグスコアに基づく。群像劇ミステリーとテキストADV性が前面に出る。
特に感情的物語95%+ストーリー充実度95%+テキストADV85%という組み合わせが特徴的。
つまり、戦闘そのものを極めるゲームというより、物語を読み、情報を集め、キャラクターたちの関係と世界の謎を理解していくゲームとしての性格が強い。
一方で、初心者60・中級者75・上級者55なので、物語重視のゲームとして比較的入りやすく、特定のプレイヤースキルだけを要求する作品ではない。
著者の感想 『十三機兵防衛圏』の面白さは、ストーリーの「答え」そのものより、答えに近づいていく過程にあると思う。
最初は意味が分からない。
キャラクターも多い。
時間もバラバラ。
それでも少しずつ情報が集まってくると、「もしかして、こういうことなのでは?」と自分なりの仮説を立てるようになる。
そして次のエピソードで、その仮説が当たっていたり、まったく違っていたりする。
この感覚がかなり気持ちいい。
特に、本作はプレイヤーがすべてを理解するまで説明してくれるタイプではない。
自分で覚えて、自分でつなげて、自分で気づく。
そこに、このゲームならではの面白さがある。
そして、13人という一見多すぎる主人公の数も、物語がつながっていくにつれて意味を持ってくる。
最初はバラバラに見えた13人の人生が、少しずつ一つの物語になっていく。
まとめ 『十三機兵防衛圏』は、13人の少年少女を中心に、時間と空間をまたいで展開するSFミステリー。
2Dアドベンチャーと機兵による戦闘を組み合わせながら、中心にあるのはあくまで「物語を理解すること」。
新しい情報を得るたびに、それまで見てきた出来事の意味が変わっていく。
だから本作は、単純にストーリーを見るゲームではない。プレイヤー自身が情報を集め、バラバラになった物語をつなぎ合わせていくゲームだ。
SF、群像劇、ミステリー、そしてキャラクター重視のアドベンチャーが好きなら、GPAの高い「感情的物語」「ストーリー充実度」「テキストADV」の評価にも納得できる作品だと思う。
同系統の感情物語は 泣けるストーリーゲーム15選 、分岐・哲学型の近隣作品は AI・哲学ゲーム20選 も参照。