ゲーム概要 『Detroit: Become Human』は、2038年のアメリカ・デトロイトを舞台にしたインタラクティブドラマ。人間とアンドロイドが共存する社会で、コナー、カーラ、マーカスという3人のアンドロイドの物語が並行して描かれる。
本作の大きな特徴は、プレイヤーの選択や行動によって物語そのものが変化すること。選択肢によって会話が変わるだけではなく、キャラクターが生き残るかどうか、その後の展開や別のキャラクターの物語にまで影響する。
GPAでは感情的物語95%、ストーリー充実度95%、実存在的テーマ90%、テキストADV90%、マルチエンド90% と、物語と選択に関わる項目を非常に高く評価している。一方で、アクション性は10%、高難度は30%。戦闘や操作の上達よりも、登場人物の判断や物語の変化を楽しむゲームだ。
ゲーム性分析 「見るゲーム」ではなく「選ぶゲーム」 『Detroit: Become Human』を特徴づけているのは、プレイヤーが物語の途中で何度も判断を迫られること。
会話の返答を選ぶだけでなく、周囲を調べるか、誰を助けるか、危険を冒すか、安全な道を選ぶか。小さな行動が後の展開につながることもある。
そして、選択を間違えても必ずゲームオーバーになるわけではない。
主人公が死亡する展開すら、そのまま物語の一部として続いていく。
つまり、本作では「失敗したからやり直す」のではなく、失敗した結果も自分の物語として受け入れることができる。
この仕組みが、一般的なアドベンチャーゲームとは違う緊張感を生んでいる。
3人の主人公が同じ世界を別の角度から見せる 物語の中心となるのは、コナー、カーラ、マーカスの3人。
コナーは、アンドロイドによる事件を捜査するために作られた捜査用アンドロイド。捜査を進めながら、人間とアンドロイドの関係や、自分自身の存在について考えることになる。
カーラは、家庭用アンドロイドとして少女アリスと行動をともにする。彼女の物語では、アンドロイドと人間の関係がより個人的なものとして描かれる。
マーカスは、アンドロイドの自由を求める運動に関わっていく。平和的に抗議するのか、それとも力で対抗するのか。プレイヤーの選択によって、彼の立場や周囲の反応も変わっていく。
3人の物語は別々に進むが、完全に独立しているわけではない。
あるキャラクターの行動が、別のキャラクターの展開や社会全体の状況に影響することもある。
そのため、プレイヤーは一人の主人公だけを追うのではなく、同じ世界で異なる立場にいる3人を順番に体験することになる。
選択肢の多さだけではなく、「戻せない」ことが重要 本作のマルチエンド90%という評価は、単純にエンディングの数が多いという意味ではない。
重要なのは、一度選択すると、その結果を簡単にはなかったことにできないこと。
章をクリアすると、自分がどのルートを通ったのかを確認できるフローチャートが表示される。そこには、今回選ばなかった分岐の存在も表示される。
「ここで別の選択をしていたらどうなっていたのか」
そう考えながらプレイできるため、1周目を終えた後にもう一度遊びたくなる。
しかも、すべての分岐を確認することが目的になるとは限らない。
自分が最初に選んだ結果を見届けること自体が、このゲームの面白さになっている。
アンドロイドを通して「人間らしさ」を考える 本作が扱うテーマは、アンドロイドの反乱だけではない。
「人間らしさとは何なのか」
「感情があることと、人間であることは同じなのか」
「自由を求める存在を、道具として扱い続けられるのか」
こうした問いが、3人の物語を通して繰り返し提示される。
特に面白いのは、ゲーム側から一つの答えを押し付けるのではなく、プレイヤー自身の選択を通して考えさせるところ。
平和的な行動を選ぶのか、強硬な手段を取るのか。
自分ならどうするのか。
その判断によって登場人物の未来が変わるからこそ、テーマが単なるSF設定で終わらない。
GPAの実存在的テーマ90% という評価も、この「自分ならどうするか」を考えさせる構造を反映したものだ。
AI時代に改めて考えたいテーマ 『Detroit: Become Human』が発売された当時と比べると、AIや生成AIは身近な存在になった。
もちろん、本作に登場するアンドロイドと現在のAIは同じものではない。それでも、「人間が作った存在が、人間の仕事や役割を担うようになったらどうなるのか」というテーマは、以前より身近に感じられるようになっている。
ゲーム内では、アンドロイドが家事や介護、警察などさまざまな仕事を担っている。
便利になる一方で、人間の仕事が減り、アンドロイドをめぐる社会的な対立も生まれている。
こうした設定をただ眺めるのではなく、プレイヤー自身が登場人物の行動を決める。
そこが本作の面白いところだ。
AIについて「便利か危険か」と考えるだけではなく、AIや機械と人間がどう関わるべきなのかを、自分の選択を通して考えさせる作品になっている。
GPAスコアから見るDetroit: Become Human 本作のGPAスコアを見ると、特徴がかなり分かりやすい。
タイトル傾向チャート(Detroit: Become Human) ※ GPAサブタグスコアに基づく。物語・選択・分岐に関する項目が上位を占める。
特に上位に並ぶのが、物語・選択・分岐に関係する項目。
逆にアクション性10%という数字からも、戦闘の腕前やキャラクターの育成で攻略するゲームではないことが分かる。
操作に自信がなくても楽しみやすく、ゲーム経験よりも物語を追うことや、自分で決断することが好きな人に向いている。
一方で、自由度の高いオープンワールドのように何でも好きにできるゲームではない。
用意されたシーンの中で、プレイヤーの選択によって展開が変わっていくタイプだ。
そのため、「何でもできる自由」よりも「物語の中で自分が決めること」を重視したゲームと言える。
著者の感想 『Detroit: Become Human』で一番面白いのは、選択肢の数そのものではないと思う。
自分が何気なく選んだ行動が、後になって予想以上に大きな結果を生むこと。
そして、選択を間違えたとしても、それをゲーム側が「失敗」として処理せず、そのまま物語として続けてくれること。
ここが、このゲームならではの魅力だ。
特に3人の主人公を操作することで、同じ世界でも立場によって見え方が変わってくる。
人間側から見るアンドロイド。
アンドロイド側から見る人間。
家族として接する場合と、仕事をする機械として扱う場合。
どちらが正しいのかを簡単に決められないからこそ、自分が選んだ行動について考えさせられる。
まとめ 『Detroit: Become Human』は、AIやアンドロイドを題材にしたSFアドベンチャーでありながら、その魅力の中心にあるのは「プレイヤー自身が選ぶこと」だ。
3人の主人公を通して異なる立場を体験し、選択によって物語が変わり、時にはキャラクターの生死まで変わる。
そして、章の終わりに表示されるフローチャートが、「自分の選択でこの物語が生まれた」という感覚を強くしてくれる。
感情的物語95%、ストーリー充実度95%、実存在的テーマ90%、マルチエンド90%。
GPAの数字が示しているのは、アクションや育成ではなく、物語を読み、自分で判断し、その結果を受け入れることに面白さがあるゲームということ。
AIと人間の関係を描いたSFとしても、プレイヤーの選択を物語に反映させるゲームとしても、今改めて遊んでも考えさせられる作品だ。
同系統の分岐・AIテーマ作品は AI・機械知性ゲーム20選 、感情的物語の次の一本は 泣けるストーリーゲーム15選 も参照。