ゲーム概要
『Crusader Kings III(クルセイダーキングス3)』は、中世ヨーロッパを舞台に、一つの貴族の家系を何世代にもわたって導いていくグランドストラテジー。
一般的なストラテジーゲームでは、国の領土を広げ、軍隊を強化し、敵国を倒すことが大きな目的になる。しかしCrusader Kings IIIでは、戦争は王朝を存続させるための手段の一つに過ぎない。
結婚によって同盟を作り、子供に領地や権利を継承させ、家臣との関係を維持し、必要なら陰謀を仕掛ける。宗教を利用して権力を強化することもできれば、自分たち独自の信仰を作ることもできる。
そして最大の特徴は、プレイヤーが操作する「君主」に寿命があること。
現在の君主が死亡すると、その後継者として別の人物を操作することになる。父親が優秀な軍事指導者だったとしても、息子が外交型の人物になるとは限らない。性格や能力、家族関係まで変化するため、世代交代によって同じ王朝でもゲームの進め方が大きく変わっていく。
つまり、プレイヤーが作るのは一つの固定された物語ではない。
何世代にもわたる王朝の歴史そのものを作っていくゲームだ。
ゲーム性分析
戦略系90% — 戦争だけではない「権力の管理」
Crusader Kings IIIの戦略性は、単純な軍事力の比較ではない。
領地を増やすために戦争をするのか、結婚によって領土を手に入れるのか、家臣を味方につけるのか、それとも敵対者を秘密裏に排除するのか。
同じ目的でも、複数の方法が存在する。
例えば強力な隣国を倒したい場合、軍隊を集めて正面から戦うだけが答えではない。相手の王族との結婚によって関係を改善したり、相手の家臣との関係を利用したり、暗殺や策略によって政治的な状況そのものを変えたりできる。
公式にも、戦争、外交、諜報、結婚、宗教などが王朝を発展させる主要な手段として挙げられている。(Paradox Interactive)
GPAの戦略系90%という評価は、こうした「目的を達成する方法を自分で考える」自由度の高さを反映している。
マルチエンド90% — エンディングではなく「歴史」が分岐する
Crusader Kings IIIのマルチエンドは、一般的なアドベンチャーゲームのような「最後にA・B・Cのエンディングへ分岐する」というものではない。
プレイヤーの行動によって、そもそも王朝の歴史そのものが変わっていく。
どの人物と結婚するか。
誰を後継者にするか。
どの土地を支配するか。
どの宗教を信仰するか。
家臣をどう扱うか。
こうした選択が何十年、何世代にもわたって積み重なり、最終的な王朝の姿を変えていく。
そのため、同じスタート地点から始めても、プレイヤーごとにまったく違う歴史が生まれる。
「決められたストーリーを読む」というより、プレイそのものがストーリーを作っていくタイプのゲームだ。
ストーリー充実度85%・感情的物語80% — NPC一人ひとりが物語を作る
ストーリー重視のゲームと聞くと、膨大なテキストやイベントを順番に読む作品を想像するかもしれない。
Crusader Kings IIIは少し違う。
ゲーム内の人物には、それぞれ性格や能力、立場、人間関係があり、それらがイベントや行動に影響する。
例えば、自分の王に忠実だった家臣が、後継者争いをきっかけに敵になることもある。
親族同士の結婚によって同盟を築いたはずが、次の世代では相続問題によって争うこともある。
こうした出来事は、用意された主人公の物語ではなく、プレイヤーが操作する王朝と周囲の人物との関係から生まれる。
だからこそ、ゲームを進めていると「この人物だけは絶対に裏切らせたくない」「この家臣にはいつか復讐したい」といった感情が自然に生まれてくる。
GPAの感情的物語80%という評価も、こうしたシステムから生まれる人間関係のドラマを反映している。
テキストADV80% — 数字だけではなく、人間関係を読むゲーム
Crusader Kings IIIでは、イベントや人物とのやり取りを通して状況が変化していく。
戦場で操作する時間よりも、人物の情報を確認し、選択肢を選び、次の行動を考えている時間が長くなることもある。
そのため、一般的なストラテジーゲーム以上に「文章を読んで状況を判断する」要素が強い。
ただし、これは一本道のテキストアドベンチャーではない。
プレイヤーが置かれている政治状況や人物関係によって発生する出来事が変わるため、同じイベントを経験しても、その意味はプレイごとに異なる。
実存在的テーマ75% — 「自分の人生」ではなく「一族の未来」を考える
Crusader Kings IIIの面白さは、プレイヤー自身が一人のキャラクターとして成功することだけではない。
むしろ重要なのは、自分が死んだ後の王朝がどうなるか。
現在の君主にとって最善の選択が、次の世代にとっても最善とは限らない。
優秀な後継者を選ぶために婚姻を調整する。
領地を分割しすぎないよう相続を考える。
将来的な反乱を防ぐために家臣との関係を整える。
自分が築いた権力を、次の世代へどう残すのか。
こうした判断を繰り返すことで、「自分の人生」よりも長い時間軸で物事を考えることになる。
ここが、単なる戦争シミュレーションとは異なる本作の魅力だ。
初心者15% — 面白さに到達するまでのハードルは高い
GPAの対象ユーザー評価は、初心者15、中級者55、上級者80。
この差はかなり大きい。
対象ユーザー(50以上なら推奨)※ 管理要素が多く、最初は混乱しやすい。理解後は自由度の高さが魅力になる。
理由は、ゲーム内で管理する要素が非常に多いからだ。
領地、家臣、軍隊、結婚、継承、宗教、文化、人物関係、外交、陰謀など、最初からすべてを理解しようとすると混乱しやすい。
一方で、一度システムを理解すると「次はこの王朝で別の方法を試してみよう」という遊び方ができる。
そのため、初心者向けの分かりやすさよりも、理解した後に広がる自由度を重視したゲームと考えたほうがいい。
Crusader Kings IIIはどんな人におすすめ?
- 歴史シミュレーションが好き
- ストラテジーゲームをじっくり遊びたい
- 自分で物語を作るゲームが好き
- 政略結婚や外交、陰謀などの駆け引きが好き
- 一つのセーブデータを長期間遊びたい
- NPC同士の人間関係から生まれるドラマが好き
- ゲーム内のシステムを理解して、自分なりの攻略法を見つけるのが好き
逆に、すぐに戦闘を楽しみたい人や、明確な目的に沿ってテンポよく進めたい人には、最初のハードルが高く感じられる可能性がある。
まとめ
作品傾向グラフ(Crusader Kings III)※ GPAの小タグスコアに基づく。Paradox Development Studio開発。2020年発売。
『Crusader Kings III』は、中世の国を操作するゲームというより、中世を生きる一つの王朝を何世代にもわたって運営するゲームだ。
戦争、外交、結婚、宗教、陰謀、相続。
これらが別々のシステムとして存在するのではなく、すべてが一つの王朝の歴史につながっていく。
GPAでは戦略系90%、マルチエンド90%、ストーリー充実度85%、感情的物語80%、テキストADV80%と、戦略性だけでなく「自分で物語を作る」部分も高く評価している。
一方、初心者15%という数字が示すように、最初からすべてを理解するのは簡単ではない。
しかし、システムを理解した後は、同じゲームなのに毎回違う人生と歴史が生まれる。
「ゲームに用意された物語」ではなく、「自分のプレイから生まれた歴史」を楽しみたい人にこそ向いている作品だ。
同系統のCivilization VIや、テキスト重視のDisco Elysiumが好きなら、次の一本としても刺さりやすい。
長期セーブでじっくり遊ぶなら 一人でじっくり遊べるゲーム30選も参照。(Steam)