どんなゲームか ── 出口の見えないプール施設を、ひたすら歩く 『POOLS(プールズ)』は、誰もいない巨大なプール施設をひたすら歩き回るウォーキングシミュレーターだ。Tensoriが手がけたリミナルスペースを題材にした作品で、明確な敵との戦闘や複雑な育成システムは存在しない。プレイヤーが行うのは、出口の見えない空間を探索し、周囲の景色や音に注意を払いながら先へ進むことだけだ。
水の張られたプール、無機質な壁、長い廊下、薄暗い空間。どこか見覚えがあるようで、現実には存在しない場所を歩いているような感覚が本作の大きな特徴だ。Steamでも「探索・鑑賞・音を聴く」ことを中心とした作品として紹介されており、リミナルスペースそのものをゲーム体験にした作品と言える。
ゲーム性分析 ── 何も起きない時間が、不安を生み出す 『POOLS』の面白さは、ゲーム側から大量の情報を与えないことにある。普通のホラーゲームなら、敵の姿やBGM、突然の演出によって「ここは危険だ」とプレイヤーに知らせる。しかし本作では、何も起きていない時間そのものが不安を生み出す。
遠くから聞こえる水音。誰もいない場所に響く足音。先が見えない廊下。曲がり角の向こうに何かいるかもしれないという感覚——実際には何もいないのに、「いるかもしれない」と考えてしまう。この想像力を利用した恐怖が本作の中心にある。Steamのユーザーレビューでも、敵がいないことを知りながら自分の頭の中で恐怖を作ってしまう、という反応が多く見られる。
一方で、ゲームとしての目的や操作はかなりシンプルだ。戦闘や謎解きによる刺激を求める人には物足りなく感じる可能性がある。批評でも、映像や音響による没入感を評価する声がある一方、ゲームプレイの少なさを指摘する意見も見られる。リミナルスペースホラー30選 では①純粋体験型として掲載しており、音と空間だけで成立させる系の代表格だ。
GPAスコアで見るPOOLSの特徴 作品傾向グラフ(POOLS) ※ GPAの小タグスコアに基づく。アクション性はほぼゼロで、空間・音・静寂が体験の主役。
退廃的世界観90%が最も高く、物語やキャラクターではなく、誰もいない空間そのものから世界観を感じ取る作品性を反映している。グラフィック75%・ホラー75%はタイル張りのプール施設と、ジャンプスケアに頼らない恐怖設計。実存在的テーマ70%・ダーク70%は「なぜここにいるのか」という問いと、薄暗い静寂のトーンを示す。
著者の感想 個人的に『POOLS』で面白いと感じたのは、「何もない」がここまでゲームになることだ。プールを歩いているだけなのに、少しずつ方向感覚が失われていく。最初は綺麗な空間として見ていた場所が、長く歩いているうちに妙に不気味に感じられてくる。
特に印象的なのが音だ。派手なBGMで恐怖を演出するのではなく、水音や足音、空間に響く音を聞きながら進むことで、自分から周囲を警戒するようになる。視界に何もいないからこそ、音のほうに意識が向いてしまう。リミナルスペースの画像やBackrooms系の映像が好きな人なら、その世界を「見る」だけではなく、自分で歩けることに大きな魅力を感じるはずだ。
ただし、これは万人向けのホラーゲームではない。敵を倒したり、謎を解いたり、ストーリーを追ったりするゲームではなく、「奇妙な空間に長時間いる」という体験そのものを楽しむ作品だからだ。日常の違和感をロジックゲームに転換した8番出口 のような「異変探し」とは別ルートで、静かな空間ホラーを求める人向けだ。
まとめ・プレイ前に知っておきたいこと 『POOLS』は、リミナルスペースというネット発の美学を、ゲームとして体験できる形に落とし込んだ作品だ。派手なアクションや複雑なシステムを削り、空間・音・静寂によって不安を生み出している。「何も起こらないのに怖い」「誰もいない場所を歩くのが好き」「Backroomsやリミナルスペースの雰囲気が好き」という人には特におすすめだ。
Q. プレイ時間の目安は?
全6章構成で、おおむね20〜30分程度。短時間でリミナル体験を試したい人向けの手軽さがある。一度クリアすれば、空間の記憶頼みでさらに短く回れる。
Q. どんな人向け?
明確な目的や攻略要素より、奇妙な空間に放り込まれる体験を楽しみたい人向け。逆に、戦闘・謎解き・ストーリー進行を主役にしたい人には合わない可能性がある。GPAの退廃的世界観90%は、まさにこの作品の魅力を表している。
同系統の空間ホラーは リミナルスペースホラー30選 、ホラー全体の文脈なら ホラーゲーム50選 も参照。