ゲーム概要 『A Plague Tale: Requiem』は、14世紀フランスを舞台に、アミシアと弟ユーゴの旅を描くアクションアドベンチャー。『A Plague Tale: Innocence』の続編であり、故郷を離れた姉弟が、ユーゴに宿る特殊な力と謎の病をめぐる新たな旅に向かう。
本作の大きな特徴は、ステルス、戦闘、探索、パズルといったゲームプレイの中心に「ユーゴを守る」という目的が置かれていること。
アミシアは投石器やクロスボウ、さまざまな道具を使って敵を避けたり倒したりできる。一方、ユーゴにはネズミを感知したり操ったりする力があり、状況によってはその能力が突破口になる。
そして、その力を使うこと自体がユーゴの運命と結びついている。
ゲーム性分析 「守る」がそのままゲームプレイになる 本作を理解するうえで重要なのが、アミシアの行動目的がほぼ一貫して「ユーゴを守ること」にある点。
敵兵に見つからないように進むときも、ネズミの群れを避けるときも、目的は単にステージをクリアすることではない。ユーゴと一緒に安全な場所へたどり着くために、アミシアが周囲の状況を判断していく。
そのため、敵を倒せる場面でも「どう倒すか」が重要になる。
ステルスで通り抜けるのか、環境を利用するのか、道具を使って敵を排除するのか。プレイヤーが選択する方法によって、アミシアが置かれている状況そのものが変わっていく。
GPAのアクション性は60%と突出して高いわけではない。これは、本作が純粋な戦闘アクションを中心にしたゲームではないこととも一致する。
むしろ重要なのは、戦闘を含めた危険な状況をどう切り抜けるかという判断だ。
ネズミは「敵」であると同時に世界そのもの 『Requiem』を象徴するのが、画面を埋め尽くす大量のネズミ。
前作から続く存在だが、本作ではその規模がさらに拡大している。開発側はPS5版について、画面上のネズミを最大30万匹まで増やしたと説明している。さらに、単なる群れではなく、波のように押し寄せる動きを表現している。
ここで面白いのは、ネズミが単純な「倒すべき敵」ではないこと。
光があれば近づいてこない一方、暗闇では一気に襲ってくる。そのためプレイヤーは、光源の位置、敵兵の位置、進むルートを同時に考える必要がある。
つまりネズミは、ホラー演出であると同時に、ステージを動かすゲームシステムでもある。
「怖いから避ける」だけではなく、「この場所を通るにはどうすればネズミを遠ざけられるか」と考えさせる存在になっている。
戦闘能力の強化が物語と噛み合わない瞬間 本作ではアミシアの戦闘能力も前作から強化されている。
クロスボウなどの新しい武器が追加され、敵を正面から倒す選択肢も増えた。公式にも、ステルスだけでなく武器や道具、特殊な力を組み合わせて敵を突破できることが説明されている。
しかし、ここには本作ならではの面白さがある。
アミシアは強くなっている一方で、精神的には戦いによる負担を抱えている。
開発チームも、続編ではアミシアがより積極的に行動する一方、その戦闘能力が彼女自身にトラウマや葛藤をもたらすことを説明している。
つまり「強くなったから楽になった」という単純な成長ではない。
敵を倒せるようになるほど、アミシアが背負うものも増えていく。
ここが本作の感情的な部分とゲームプレイが接続するポイントだ。
姉弟の関係が変化していく 本作で最も大きな変化が起こるのは、アミシアとユーゴの関係。
前作では、アミシアがユーゴを守りながら二人で逃げ続けるという構図が強かった。
しかし『Requiem』では、ユーゴ自身の力が物語の中心になっていく。ユーゴの能力は危険な状況を突破するための強力な手段になる一方、それを使い続けることには代償がある。
ここで「守る」という行為が難しくなる。
ユーゴを守るためには、ユーゴ自身の力を使わせる必要がある。
でも、その力を使わせることが、本当にユーゴのためなのか。
この矛盾が、姉弟の関係を単純な「守る側と守られる側」から変化させていく。
GPAで感情的物語90%、ストーリー充実度85%、実存的テーマ60%となっているのも、この部分が大きい。
本作は単に悲しい物語を描いているのではなく、「大切な人を守るためなら、どこまで犠牲を許せるのか」 という問題を、姉弟の行動を通して描いている。
グラフィックが「恐怖」を強化する グラフィック90%というGPA評価も、本作では単純な映像美だけを意味しない。
広大な風景、光と影、血や泥にまみれた戦場、そして大量のネズミ。
特にネズミの表現は、ゲームプレイと映像表現が直接結びついている。
開発側は続編でより広い環境を実現し、遠くまで見渡せるようになったことも説明している。大量のネズミが波のように押し寄せる表現と合わせて、プレイヤーが感じる圧迫感そのものを強化している。
美しい風景を見せた直後に、ネズミの群れや暴力的な現実を突きつける。
この落差が、14世紀の過酷な世界を印象づけている。
GPAスコアで見るA Plague Tale: Requiemの特徴 作品傾向グラフ(A Plague Tale: Requiem) ※ GPAの小タグスコアに基づく。姉弟の関係とネズミの脅威が、物語・映像・ゲームプレイを同じ方向に押す。
著者の感想 『A Plague Tale: Requiem』の面白さは、アクションゲームとして強くなっていくことと、物語として苦しくなっていくことが同時に進むところにある。
武器や能力が増えることで、プレイヤーは以前より多くの方法で危険を突破できる。
ところが、アミシアとユーゴの旅は、そのぶん簡単にはならない。
むしろ、できることが増えるほど「その力を使っていいのか」という問題が重くなっていく。
だからこそ、最後までプレイしたときに残るのは、戦闘の爽快感だけではない。
「この二人にとって、本当に必要だったのは何だったのか」と考えさせられる。
GPAの感情的物語90%、グラフィック90%、ストーリー充実度85%という評価は、単にストーリーが長い、映像が綺麗という意味ではなく、映像・ゲームプレイ・姉弟の関係が同じ方向を向いていることを表していると思う。
まとめ 『A Plague Tale: Requiem』は、ステルス、戦闘、探索、パズルを組み合わせたアクションアドベンチャーでありながら、その中心にあるのは「弟を守る」という一つの目的。
ネズミは恐怖を演出するだけでなく、光と闇を利用したゲームプレイを生み出す。
武器や能力は戦闘の選択肢を増やすだけでなく、アミシアが背負う葛藤にもつながる。
そして、ユーゴの力は物語を進めるための能力であると同時に、「守ること」と「本人のためになること」の違いを問いかける存在になる。
GPAで感情的物語90%、グラフィック90%、ストーリー充実度85%という高評価になっているのも納得できる作品だ。
派手なアクションだけを楽しむゲームではない。
大切な人を守ろうとすることが、必ずしも正しい結果につながるとは限らない。
その重さを、ゲームプレイと物語の両方から体験させてくれる作品だ。
泣ける物語の次の一本は 泣けるストーリーゲーム15選 、ネズミと暗闇の恐怖寄りなら ホラーゲーム50選 も参照。