日本のどこで、いつ生まれるかから人生が始まる
『1.2億分の1』では、日本の47都道府県のどこかに生まれた一人の人生をシミュレーションする。
出生年は1950年から2026年までの範囲から選ぶことができる。つまり、同じ日本を舞台にしていても、どこで生まれたか、いつ生まれたかによって、最初に置かれる条件が変わる。
その後は人生のさまざまな出来事を追いながら、進学や就職、結婚、老後などを体験していく。
ここで重要なのは、人生のすべてをプレイヤーが自由に決めるわけではないことだ。
出生地や出生年代のように、自分では選べない条件が最初に存在する。その条件を土台にして、その後の人生が進んでいく。
統計データを使って人生をシミュレーションする
『1.2億分の1』の大きな特徴は、日本の統計データを人生シミュレーションに取り入れていることだ。
総務省・厚生労働省・文部科学省などのデータをもとに、進学や就職、結婚などの人生イベントが構成されている。
そのため、一般的な人生シミュレーションのように、プレイヤーが理想の人生を自由に作っていくゲームとは少し違う。
最初に与えられた条件があり、その条件の中で人生が進んでいく。
「どんな選択をするか」だけではなく、「そもそもどんな環境に生まれたのか」も人生の結果に関わってくる。
生まれた時代によって、同じ日本でも人生が変わる
出生年を1950年から2026年まで選べることで、異なる時代の日本を生きることができる。
戦後の日本、高度経済成長、バブル経済、その後の不況、平成、令和。
生まれた年代によって、人生を取り巻く社会環境は大きく異なる。
歴史的な出来事も人生の背景として存在するため、単に年齢を進めていくだけではなく、「その時代に生まれた人として人生を送る」という感覚につながっている。
同じ年齢でも、どの時代に生まれたかによって置かれる環境は違う。
この違いをゲームとして体験できることが、『1.2億分の1』の特徴の一つだ。
自分の選択だけでは人生は決まらない
人生の途中ではさまざまな選択が発生する。
しかし、その選択だけで結果が決まるわけではない。
出生地、出生年、社会環境など、プレイヤーが決められない条件も最初から存在している。
つまり、『1.2億分の1』では「自分で選んだこと」と「最初から与えられた条件」の両方が人生を形作る。
この構造が、一般的な選択型アドベンチャーとは異なるところだ。
理想の人生を作るというより、「この条件で生まれたら、どんな人生になったのか」を見ていく。
条件を変えることで、別の人生を試せる
一度のプレイで体験できるのは一つの人生だ。
しかし、出生地や出生年などの条件を変えれば、別の人生を体験できる。
東京で生まれた場合と別の地域で生まれた場合。
1950年代に生まれた場合と、平成・令和の時代に生まれた場合。
同じ日本を舞台にしていても、スタート地点が変われば、その後の人生も変わっていく。
この構造が、マルチエンド88%というGPAスコアにもつながっている。
一本道のストーリーを最後まで読むというより、「今回はどんな人生になったのか」を確認するために条件を変えて繰り返すタイプのゲームだ。
「もし違う場所に生まれていたら?」を考える
『1.2億分の1』をプレイしていると、人生の結果を自分の選択だけで説明することが難しいことに気づく。
どこに生まれたか。
いつ生まれたか。
どんな社会環境だったか。
その中でどんな選択をしたか。
複数の条件が重なって、一人の人生が形作られていく。
だからこそ、プレイ後には「もし別の時代や地域に生まれていたら、自分の人生はどうなっていただろう」と考える余地がある。
実存的テーマ72%というスコアは、このゲームの構造と相性がいい。
一方で、感情的物語40%・ストーリー充実度40%は比較的低い。
これは、特定の主人公を中心とした長編ドラマを楽しむゲームではなく、人生そのものをシミュレーションして、その結果を体験するゲームだからだ。
GPAスコアから見る1.2億分の1
『1.2億分の1』では、マルチエンド88%、実存的テーマ72%、テキストADV72%が特に高い。
マルチエンドは、出生地や出生年などの条件と、その後の人生の展開によって異なる結果を体験できる構造を表している。
実存的テーマ72%は、「自分の人生は自分の選択だけで決まるのか」という問いを、ゲームの仕組みそのものから考えられる点と関係している。
テキストADV72%は、複雑なアクション操作ではなく、人生の出来事や選択を追いながら進めるゲーム構造によるものだ。
一方、感情的物語40%とストーリー充実度40%は低めになっている。
一人の主人公の物語を長く描くことよりも、条件を変えて人生そのものをシミュレーションすることに重点が置かれているためだ。
初心者72・中級者68というスコアも、複雑な操作や高度なゲーム知識を必要とせず、人生の出来事と選択を追いながら遊べる構造とつながっている。
『1.2億分の1』の面白さは、理想の人生を作ることだけではない。
自分では選べない条件を与えられ、その条件の中で人生がどう変わっていくのかを見る。
「もし違う場所、違う時代に生まれていたら?」
その問いを、日本の地域差や統計データ、歴史的な背景を使ってシミュレーションすることが、このゲームの中心にある。