ゲーム概要 『Sable(セイブル)』は、Shedworksが開発した探索型オープンワールドアドベンチャー。砂漠の惑星「Midden」を舞台に、遊牧民の少女Sableが一人前の大人になるための通過儀礼「Gliding」に旅立つ物語だ。
Sableは旅の途中でホバーバイクを手に入れ、広大な砂漠や遺跡、集落を自由に探索していく。特徴的なのは、一般的なオープンワールドゲームにある戦闘が存在しないこと。敵を倒してレベルを上げるのではなく、世界を歩き回り、人々の依頼をこなし、遺跡を調べ、さまざまな「マスク」を集めながら、自分がどのような生き方を選ぶのかを考えていく。
GPAでは、オープンワールド75%、グラフィック70%、実存在的テーマ65%、ストーリー充実度60%、感情的物語55%、退廃的世界観55% という評価。ゲームの中心にあるのは、戦闘や育成ではなく「探索」と「自分探し」だ。
1. 戦闘を捨てたオープンワールド 『Sable』を理解するうえで最も重要なのが、戦闘がないこと。オープンワールドゲームというと、敵との戦闘、武器の強化、レベルアップなどがゲームプレイの中心になりやすい。しかし『Sable』では、そうした要素をほぼ完全に取り除いている。
プレイヤーがするのは、砂漠を走り、崖を登り、遺跡を探索し、人々と話し、依頼をこなすこと。つまり「敵を倒すために世界を探索する」のではなく、世界そのものを知るために探索する。この設計によって、広大な砂漠は攻略対象ではなく、旅をする場所になる。
2. ホバーバイクが「移動」をゲームにする Sableの旅を象徴するのがホバーバイクだ。広大な砂漠を徒歩だけで移動するのではなく、ホバーバイクに乗って砂丘を駆け抜けることができる。ここで面白いのは、移動が単なるファストトラベルの代替ではないこと。
遠くに見える建造物へ向かって走る。砂丘を越える。遺跡を発見する。そこからさらに別の場所へ向かう。この繰り返しによって、目的地へ向かう過程そのものがゲームになる。『Sable』の開発初期から、ホバーバイクで砂丘を走り、遠くにある巨大な目標へ向かうことがゲームの核になっていたと紹介されている(NME )。オープンワールドの「移動時間」を、単なる待ち時間ではなく、探索の時間として成立させているのが本作の特徴だ。
3. 登る、滑る、飛ぶ。探索そのものが報酬になる 『Sable』では、建物や岩場を見つけたら、そこへ登ってみることができる。スタミナを消費しながら壁を登り、高い場所まで到達する。さらにGliding Stoneを使えば、空中をゆっくり滑空することもできる。
この組み合わせによって、「遠くに見えるあの建物に行ってみよう」→「どうやって上まで登ろう」→「ここまで来たら周囲を見渡してみよう」という自然な探索が生まれる。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』との類似性を指摘されることもあるが、『Sable』では戦闘を排除することで、登る・移動する・発見するという部分をより前面に出している(PC Gamer )。
4. マスクは「装備」ではなく「自分の生き方」 『Sable』を単なる探索ゲームで終わらせていないのが、マスクのシステムだ。Middenでは、マスクがさまざまな職業や役割を象徴している。旅の中で人々を助けたり、仕事を手伝ったりすると、その職業に関連したバッジを獲得できる。一定数のバッジを集めることで、対応するマスクを手に入れられる。
つまり、プレイヤーが何をしてきたのかが、最終的にSableがどんな人物になっていくのかにつながっていく。例えば商人に関われば商人のマスク、機械に関われば機械に関係するマスクを目指せる。重要なのは、これが一般的なRPGの「強い装備」とは違うこと。マスクはSableの能力を強化するためだけのものではなく、彼女がどんな大人になるのかを考えるための象徴になっている(ゲームスポット )。
5. 「正解」を探すゲームではない 『Sable』には、明確な一本道の正解が存在しない。どの場所へ行くのか。誰の依頼を受けるのか。どんなマスクを集めるのか。どれだけ寄り道するのか。基本的にプレイヤーが決められる。
さらに、マスクを一つ手に入れた段階でもゲームを終えることができる。つまり「すべてのコンテンツを消化してからクリアする」という構造ではない。自分が納得したところで旅を終えることができる(ゲームスポット )。この自由さは、Sable自身が「どんな大人になるのか」を探しているという物語とも一致している。
6. 実存在的テーマ65%が示す「自分探し」 GPAで実存在的テーマ65% となっているのは、本作の物語が単純な冒険ではなく、「自分は何者なのか」という問いを中心にしているからだ。Sableは世界を救う英雄ではない。大きな使命を背負って敵を倒しに行くわけでもない。
彼女が旅に出る理由は、成人を迎えるための通過儀礼だ。さまざまな場所を訪れ、いろいろな人に出会い、異なる仕事や役割を経験する。その中で、自分がどんな人生を送りたいのかを考える。これはプレイヤー自身の探索スタイルとも重なる。自由に寄り道するプレイヤーほど、Sableの旅もまた「自分で決めた旅」になっていく。
7. 美しいけれど、どこか寂しい世界 GPAのグラフィック70%、退廃的世界観55% もSableの大きな特徴だ。砂漠の風景は明るくカラフルで、フラットな線と独特の色使いによって描かれている。一方で、その世界には古代文明の遺跡や壊れた宇宙船、使われなくなったテクノロジーが残されている。
「美しいけれど、何かが失われている」。この感覚がMiddenの世界観を特徴づけている。PlayStationの公式紹介でも、広大な砂漠、宇宙船の残骸、古代の謎、遊牧民との出会いなどが本作の主要な要素として挙げられている(PlayStation )。戦闘がないからこそ、こうした世界の痕跡をゆっくり眺める余裕がある。
8. 「何もしない時間」が面白い 『Sable』には、一般的なゲームなら「何も起きていない」と感じる時間がかなり多い。ホバーバイクで砂漠を走っているだけ。高い場所から景色を眺めているだけ。遺跡の上で休んでいるだけ。しかし、それが本作では成立する。
常に敵が襲ってくるわけでもなく、制限時間があるわけでもない。「次の目的地へ急がなければならない」というプレッシャーが弱いため、プレイヤーは自分のペースで世界を見ることができる。GameSpotも本作について、探索とプレイヤーの自由を中心にしたリラックスできるアドベンチャーとして評価している(ゲームスポット )。
9. GPAスコアから見る『Sable』 作品傾向グラフ(Sable) オープンワールド75%とストーリー充実度60%——世界を旅することで物語を見つける構造。
特に注目したいのが、オープンワールド75%とストーリー充実度60% の組み合わせ。本作は「物語を追いながら世界を攻略する」タイプではなく、「世界を自由に旅することで物語を見つける」タイプだ。
一方、感情的物語は55%なので、泣かせるようなドラマがゲームの中心というわけでもない。Sableの魅力は、物語そのものよりも、旅をしながら自分なりの答えを見つけていく過程にある。
10. こんな人におすすめ ◎ 特におすすめ
戦闘のないオープンワールドを遊びたい 美しい世界をゆっくり探索したい ホバーバイクなど乗り物で世界を移動するのが好き ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド の探索部分が好きJourney やABZÛ のような雰囲気重視のゲームが好き自分のペースでゲームを進めたい 「自分は何者なのか」というテーマに興味がある 大量の戦闘や育成を必要としないゲームを探している △ 人を選ぶポイント
戦闘、キャラクター育成、強力な装備を集めることなどをオープンワールドの楽しさとして求める場合は、少し物足りなく感じる可能性がある。
『Sable』が面白い理由 『Sable』は、「何を倒すか」ではなく「どこへ行くか」をゲームの中心に置いた作品だ。ホバーバイクで砂漠を走り、気になる遺跡を見つけたら立ち寄る。高い建物を見つけたら登ってみる。そこで出会った人の依頼をこなし、新しいマスクを手に入れる。そして、また別の場所へ向かう。
この繰り返しが、Sable自身の「自分探しの旅」と重なっている。GPAのオープンワールド75%と実存在的テーマ65%という評価も、まさにこの特徴を表している。
『Sable』は、世界を攻略するゲームではない。世界を旅しながら、自分がどんな旅をしたいのかを決めていくゲームだ。戦闘も、レベル上げも、派手なボス戦もない。それでも、砂漠を走り、遺跡に登り、知らない人と出会い、また次の場所へ向かう。その「寄り道こそが目的になる」感覚こそ、『Sable』最大の魅力だ。
同じ「探索型オープンワールド」なら オープンワールドゲーム30選 も参照。